夕刊フジ

 いやぁ、ようやく自宅に戻ってきた。周辺は相変わらずとっ散らかっているけれど、巣に帰った感は強い。パソコンがあり、iPadがあり、レファレンス本の山が背後に聳え立つ。落語の「しわいや」ではないけれど、頭上に細い糸で大きな石を吊るして暮しているようなもので、いつもヒヤヒヤしているような書庫だが、しょこがまたいいのだ。

 さて、昨日、東京駅で買ってきた「夕刊フジ」を寛げるか。この新聞は、なかなか愛知県では入手が難しい。ジャーナリストの有本香さんが連載している新聞なので、きっと面白いのだろう……そう思ってキオスクで求めて帰ってきた。

 

 およよ、1面には《日本にすり寄り韓国が親書持参》と大見出しを打ってきた。このことについて、自民党松川るい参議院議員がコメントをしている。松川議員、最近の女性議員の中ではおそらくピカイチだろう。この人の意見なら真面目に拝読しよう。松川氏は言う。

「韓国側がどれぐらい真摯な案を持ってくるかということだ」

 そのとおり。その他の発言もまともだ。

「日本側は一貫して発信しているのは『徴用工問題を解決せよ』というメッセージ。韓国側が責任を持つかたちで日韓請求権協定違反にならないような解決策を持ってくるなら受け入れも可能だが、理不尽な嫌がらせを続けるなら毅然と突っぱねるだけだ」

 頼もしいなぁ。ちょっと注目していこうっと。

 

 2面は《韓国「親書」気になる中身》

《室谷氏「『反日』改めない限り信頼関係壊れたまま」》

 室谷氏というのは、『嫌韓流』(PHP新書)を書いた室谷克実さんのことですな。その下にはこんな特集もある。

《絶望の韓国軍》

《国防予算の異様な増加 日韓関係の不和意識か》

 同じ2面には《立憲民主党•福山幹事長を直撃》

《凍結八ッ場ダム台風19号で力発揮》

《「コンクリートから人へ」の反省は?》

《回答のらりくらり「後悔」感じられず》

 ジャーナリストが福山議員に迫ったが、質問が甘いので、まったく福山議員、なんの痛痒も感じずにのらりくらり答弁しますわなぁ。

 

 3面は「山口組ナンバー2の出所」のニュースだった。高山若頭の写真が載っている。72歳ということで、右手に杖を持っている。見ようによっては、普通のお爺さんだ。

 でもね、この記事を読んだ時にある老人のエピソードが脳裏を過った。新選組五番隊長の永倉新八のことである。

 古希をこえた永倉新八が、孫と一緒に見世物小屋か何かに行った。その際に地廻りに絡まれてしまったそうだ。ところが永倉が杖を正眼にピタリと構えたら、地廻り共は、その気迫にまったく手が出せなくなってしまった。

 新選組は、ある種の殺戮集団だったわけで、けっして今の若い娘たちが追っかけをするようなアイドルグループのようなものではなかった。そういう意味から言えば、反社組織に通じるものがあったと思っている。おそらく写真の老人と対面したら怖いんだろうなぁと思った。

 その下に《「カレーやめます」神戸市立東須磨小のトンデモ対策》という間の抜けたネタが笑える。神戸市教育委員会は本質をまったく見ていないんだね。

 

 そのほかにもトリエンナーレネタを扱ったケント・ギルバートさんの記事があり、元官僚の高橋洋一さんの《「日本」の解き方》なども読みどころで、夕刊にしてはなかなかのボリュームで、これが東海地方で売っていれば、「朝日新聞」なんか止めて「夕刊フジ」にするのになぁと思う。

 44面ある紙面を14面まで読み進めていって、「おや?」と思った。「菊花賞」の宣伝だった。「あれ?」と思いつつ15面を見ると「東京競馬」のレース予想がある。なんと31面まで競馬新聞だった。32面にもどってようやくジャーナリストの長谷川幸洋氏の論説が出てくるのだが、なんと裏表紙まで含めて19ページも馬馬馬のオンパレード。スポーツ6ページ、風俗2ページ、パチンコ1ページで、44面中28ページが、ワシャの興味のないことばかり。こいつはちょっと買わないかなぁ。有本さんの連載があったら、その日の新聞だけ買うことになるだろう。

 でも、通常の記事自体は読み応えのあるいいもので、ワシャが競馬ファンだったら、絶対に楽しんで買えると思う。