第25回参議院選挙概観

 まずは自戒の意味も込めて、政治家の人材不足が顕著になっていると感じた。今回、アナウンサーの経歴をもつ者が6人もいる。落選した中にも、愛知選挙区の岬麻紀氏や兵庫選挙区の安田真理氏などがいるから、その割合は結構多い。アナウンサーの担ぎやすいのは、ある程度のビジュアルを備えつつ、知的な仕事だと思われていることと、一般人より、多少滑舌がいいから使いやすいのだろう。でもね、兵庫の安田氏は、初っ端に自分の公約すら知らないことを暴露してしまった。これがネットで拡散されて、「こりゃダメだ」とレッテルを貼られてしまった。このネーチャン、生の演説を姫路駅前で聴いたけれども、公示の頃から比べれば、演説はずいぶんとうまくなった。ただのっけの躓きは挽回できなかったね。

 愛知選挙区の岬氏は、掲示場のポスターから失敗こいた。減税日本の河村みゃーみゃーさんの色を出し過ぎた。岬氏の背後にまさにぴったりとくっつくようにして、でかい顔のみゃーみゃーさんがあの顔を並べている。これは逆効果だろう。みゃーみゃーさんの神通力が通じるのは名古屋市の一部だけであって、三河地区などアンチが大半と言っていい。むしろ岬氏単独のポスターのほうがいい勝負ができたと思う。この候補も名古屋駅前で演説を聴いたけれど、本人はいいことを言っているが、応援弁士のみゃーみゃーさんがやはり足を引っ張っていたね(笑)。

 その他の選挙区では、広島の溝手顕正氏が落選したのは時代の趨勢であろう。76歳であるし、単に威張るだけの人というイメージが強かった。まぁ昭和の臭いのする政治家だったから、令和での退場はある意味で象徴的と言っていい。

 鹿児島では尾辻秀久氏(78)も、1期終われば84歳だから、もう普通の社会では引退だよね。いつまでやってるんだ爺さん。

 泣きの塩村(東京)が通った時には、百田さんや八百屋の生田さんががっくりとうなだれていた(笑)。

 NHKから国民を守る党の立花孝志氏が当選した。ワシャもNHKには思うところがあり、思わず比例区で「N国」と書きそうになってしまった。でも国防優先なので、もちろん入れなかったけれども。

 アナウンサー出身では兵庫の清水貴之氏(維新)のことをジャーナリストの有本香さんが「二言三言質問をしたら答えられなくなってしまった」と評していた。要は、そんなんばっかりやという話である。

 全体を俯瞰すれば、朝日新聞やNHKは「改憲勢力2/3に届かず」と鬼の首を取ったように報道しているが、勢力を減らした国民民主党の取り込みなどを考えれば、大騒ぎをするほどのことではない。

 投票率は48%代と、戦後2番目の低さだと報じられるが、小泉旋風が吹き荒れた時など投票率は上がっても、その結果としてどうしようもない連中が国会に登場した。作家の百田尚樹さんに言わせれば「投票率が上がるとクズが多く当選するから」ということで、投票率など上がらなくともいいということである。それにしても、国民の半分以上が選挙権を行使しないとはねぇ。

 

 今日の天声人語である。昨日終わった大相撲を引き合いに出して、自民党に「横綱相撲を取れ」とうるさい。そして立憲民主の躍進を《「多弱」野盗の団子レースから、立憲が頭一つ抜け出した感がある。ただ、私見ながらその実力は小結あたりか。三役が横綱に挑み、鋭くぶつかる。そんな政界大相撲を見たい。》と言う。あ、ちなみに「野盗」は誤記ですが、とくに直しません。

 立憲民主が小結でもいいけれど、まともな立ち合いをせず、いつもあさって方向ばかりに突っ走って、土俵に品がないよね。それに土俵に上がって、相撲を取るんじゃなくて、相手の揚げ足ばっかり取っている。それじゃダメじゃん

 

 それにしても昨日の千秋楽はいい相撲だった。鶴竜白鵬、優勝のかかる横綱同士の大一番だ。見ごたえがあったねぇ。そして下品な横綱が負けてくれたので、テレビ桟敷は大盛り上がりだった。白鵬にも力のかげりが見えている。もうピークは確実に過ぎた。もうそろそろかもしれない。

 同様に、一強自民も、内側にいろいろな病巣を抱えている。これを党中央の筋肉が今のところカバーしているので、病が顕在化はしていないが、地方の自民は相当に旧態としている。こんなレベルで大丈夫なのか?というのが率直なところだ。国政選挙の結果が出て、それに安堵している場合ではないし、逆に落胆している場合でもない。急ぎ地方組織のレベルアップをしていかないと、満身創痍の横綱は、首が左に曲がったままの小結に「褄取り」の奇手で土俵から追われるぞ。

 日本人を守り、日本の伝統を維持し、日本の誇りを取り戻すために、政治家はしっかりと仕事をしろよ。己への戒飭も含めて。