現代美術?

 評論家の呉智英さんの「週刊ポスト」の連載がおもしろい。最新連載は、現代美術作家の会田誠氏が講座の受講生から講義内容について「環境型セクハラ」で訴えられたというネタで書いておられる。

 話を要約すると、現代美術と称する奇妙なもの、例えば「少女が強姦されて涙を流している絵」や「女性が排泄している絵」を会田氏がスクリーンに映しだして講義を進めた。受講していた女性は、そのアートと称する奇妙なものに強いショックを受けて、そんな講義をした大学に対し300万円の慰謝料を求めて訴訟を起こしたのだそうな。 

 美術系の大学でエロマンガを論じたことのある呉さんは「自分ならバカ学生とは徹底的に闘う」と言われる。しかし、会田氏から共闘・支援を頼まれたら「ちょっと嫌だな」とも呟いている。呉さんは、変なアートを造り続ける会田氏にも、訴えたバカ学生にも、現代アートに対しても冷笑的なのだ。

 後段で、井原西鶴の『好色一代男』を扱う国文学の講義は「環境セクハラ」にならないのだろうか?と疑問を呈されている。ご自身も講義で、『好色一代男』の一番スケベなところをプリントして使ってきたと豪語さる。そして結びの一文の「しかし、一度も訴訟沙汰にはなっていない。」を読んで、呉さんのドヤ顔を思い出して、ついニヤリと笑ってしまった。

 

 呉さんが冷笑的なように、ワシャも会田氏については冷笑的だ。憤っていると言ってもいい。とくに「MONUMENT FOR NOTHING Ⅴ~にほんのまつり~」が嫌いだ。先の戦争で散華された英霊をあまりにもバカにした作品だからである。

 会田氏の巨大張りぼてよりも、ゴミ集積場のアートな缶の集合体のほうに感動を覚えてしまった。まさにこれはアートだ。

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