「プレバト」の俳句に、東京大学の学生が出ている。昨日は、東大医学部の水上颯(そう)くん。開成高校から現役合格し、甘いマスクで「東大医学部のプリンス」「東大医学部の貴公子」と呼ばれている23歳。高校2年まで勉強せずに、全国トップレベルの成績だったそうな。つまりバリバリの東京大学生ですな。
その水上くん、38点で才能ナシの最下位だった。さっきまで自信満々の貴公子の顔が、急に三条河原の乞食のような顔になってしまった。おもしろいことなんだが、東大生、東大卒の人間力のない連中、今まで挫折を味わったことのない人間はとても貧弱な顔になる。挫折した時に心を支える「底力」が備わっていないのである。
これがこの東大生にはなかった。これは三流大学卒のジジイの妄言ではない。人間通の谷沢永一氏も言っている。
《論語に、知を好みて学を好まざれば其の弊や蕩、と言う。この知は即ち物識りの記憶力、それに対して学は社会に於ける人間関係の道理をわきまえる智恵、蕩は締まりなくとりとめなくだらしない、の意である。この頃から既に物覚えがいいだけの人はいざというとき物の役に立たぬと、見下されていたのであるらしい。》
ノートなど取らずとも、板書を見ただけで、頭に入れてしまう秀才を知っている。水上くんは、この最たる人だったに違いない。その能力だけを高めていけば、東京大学に入って、キャリア官僚にもなれる。国会議員や知事になることもさほど難しいことではないだろう。
主宰の夏井いつき師は、38点にも関わらず、この貴公子を「見込みのある才能ナシ」と救い上げた。今まで38点にそんなことを言ったことがないのだが、おそらくは、東大生ということで、「少し俳句の基礎を学習すれば、すぐにレベルを上げてくるだろう」との思いがあったのかもしれぬ。
それはそれで俳句振興のためになるだろうが、水上くんの今後の人生を考えるとするならば、「人間力」を身に付けるための世間智を体験させた方がいいのではないかと思った。
ややや、雨が降ってきた。こりゃ急いで出勤しなければいけない。もそっと書こうと思ったけれど、言い訳ができた(笑)。それでは行ってきま~す。