今日の朝日新聞「文化・文芸」欄。瀬戸内寂聴さんの「残された日々」という連載があるのだけれど、ワシャは瀬戸内寂聴にそれほど興味がないので、著書も読んだことはないし、この連載も素通りしていた。
でもね、題が「ショーケンとの再会」となると話は別だ。もちろん全文熟読をした。要は、ショーケンが大麻取締法違反で逮捕され、判決が下って、執行猶予が取れた。その足で、妻のいしだあゆみさんから紹介された瀬戸内さんを京都に訪ねた……というエピソードだった。
ワシャはこれを知っていた。萩原健一の著書『ショーケン』(講談社)に、逮捕から更生までの経緯が赤裸々に語られているからである。
どちらの話も同様で、ショーケンは瀬戸内さんの紹介で「天龍寺」に入った。頭を剃って法衣を身にまとうと、「ショーケンは見事な雲水になりきるのは、さすがの役者だった」と言っている。
もちろんショーケンの坊主姿は絵になったろう。ワシャも見たかったがところがどっこい、中身は仏道からもっとも遠いところにいたんでしょうね。『ショーケン』 によれば、夜間外出禁止にも関わらず、毎晩、寺を抜け出して祇園通いをしたそうだ。そこで目撃されて、天龍寺から東光寺に左遷されたと語っている。
確かに、ショーケンが僧侶を演じたとして、天龍寺の庭園に佇んでいたとしても、いかにも灰汁の強い生臭坊主といった風情だろう。
瀬戸内さんの連載を切っ掛けに『ショーケン』を読み返してみて、ショーケンという役者の存在の大きさを実感した。
この連載の下に、福岡伸一さんの連載もあったのだが、これも「万葉集」と「蝶」の絡みの話でおもしろかった。朝日新聞がこんなに充実しているのは久しぶりだった(笑)。