大名古屋らくご祭

 昨夕、名古屋金山で落語会があった。春風亭昇太柳家喬太郎三遊亭白鳥林家彦いちが高座に上がる。なかなか贅沢なメンバーが揃っている。これを楽しみにして、日中はひたすら歩いた。午前午後と行脚行脚、ペコペコペコペコ。こういうのはワシャの性格には合わないんだけど……人生は大変だ(笑)。
 夕方、一旦自宅にもどってスーツを脱いで、カジュアルな格好に着替えて家を出る。18時ちょうどの下りに乗れば充分に間に合う。
 駅に着いたのが17時50分、余裕綽々だ。ところが電光板を見ると、17時45分着の快速が30分の遅れと表示されているではあ〜りませんか。「おひおひ」、東海道本線はめちゃめちゃ乱れていた。しかし金山に行く方法はこの線しかなく、あきらめて寒風吹きすさぶホームに待っていた。最近、JR東海、ダイヤの乱れが多すぎないか。
 各駅停車は3分程の遅れで到着した。とにかく西へ向かわなければいけないので、これに飛び乗った。鈍行で刈谷まで進み、そこで30分遅れの快速が追いついてきた。これは乗り換えなければと長蛇の列の一番尻に並んだのだった。刈谷駅で快速3本分の乗客が30分遅れに乗ったのである。これは生半可ではありませんぞ。ワシャは最後尾だったので、ドア際にペチャンコになって、辛うじて乗った。スペースが靴2足分(50㎝×10㎝)ほどしかなかったので、靴を180度開いてそこに収めた。だけど右足が左の男性の靴をちょこっと踏んでしまった。「すいません」と謝るとスマホをやっている男性はコクリと頷く。ドアがしまる。あやうく挟まれそうになったが腹と股間を引っ込めて事無きを得た。
 もう列車の箱内はすし詰めである。周囲の人との密着は避けられない。ワシャの前はドアのガラスで、そこにはベターッとくっついているので、誰に憚ることもないのだが、左側と背後は若い女性だった。「キャー!」とか言われたら痴漢にされてしまうので、鞄を胸とドアで挟んで支えるような形にして、その上に両の手を乗せていた。
 でもね、すし詰めで、電車の横揺れがあると背後と左の女性がワシャをグーッと押し付けてくるんですわ。日常的にこんなに女性と体を密着させるということはないので、ワシャとしては避けたいわけではあるが、なにせ反対側はドアであるし、右側は男であるので逃げたくない。だからその場でグッと我慢するしかないのであ〜る。
 ワシャは背中、臀部、太腿あたりで女性たちの体重を必死に受け続け、ようやく金山に到着したのであった。(つづく)