野分過ぎ神無月

 台風24号は列島を縦断し太平洋へと抜けた。

 昨日、名古屋駅のキッテの地下で、来週、津島市で実施するイベントの打ち合わせをした。午前10時40分くらいの名古屋駅、いつもなら喧騒の中にあるのだが、え?閑散としているのだった。そういえば名古屋に来る快速の車内も大声で話をしているベトナム人3人組と、公共のスペースではことさら大声での会話は慎むように躾けられた日本人が20人くらいいただろうか。その全員が座っていた。通常の日曜日の午前中であれば、すし詰めとは言わないが、おそらく何人かは立っていてもう少し混んでいる。

 ワシャはガラガラの名駅をキッテに向かう。名駅周辺の歩道も人の姿はまばらだなぁ。キッテの地下にもぐってもいつものような賑やかさはない。
 今回のイベントの仕掛人であるチェリオくんは東京からわざわざのご出座で、すでにデリフランスモーニングコーヒーを飲んでいた。いつもは隣のクラフトビアバーなのだが、開店が11時なのでいったんこちらで腹ごしらえということらしい。ワシャはやっぱりビアバーのほうがいいけどね。
 次々にメンバーが集まってきて、イベントの詳細な打ち合わせが進む。しかし、台風が接近してきている。とくに鉄道系が早々と店じまいをしようとしている。JRの本線も午後3時に全線が不通となる。新幹線も同様で、12時台に乗らないとチェリオくんは帰れない。12時までデリフランスで、12時からはチェリオくん抜きで、ビアバーで喧々諤々の議論をする。でもね、店内にお客さんはほとんどいない。貸きり状態のようになっていた。ビアバーもラストオーダーが午後1時半で2時には閉店になる。だから急いで飲みましたがな〜。いやいや、急いで打ち合わせましたがな〜。
 それにしても、つまみでもらった「スパイシーチキンのから揚げ」は美味しかったなぁ。もう一度食べたい味だった。
 午後3時、なんとかJRが停止する前にもよりの駅まで帰り着き、駅前の饅頭屋で「南吉の青春カステラ」の詰め合わせを買って、かつての(笑)職場に行く。部下たちとはお別れの挨拶をすることができた。ところが清掃の人や管理の人たちとは忙しさに紛れて挨拶をし損ねてしまった。だから改めてご挨拶に伺ったという次第。

 夕べの台風である。西三河では、夕方から風雨が上がり始め、午後9時には叩きつけるような雨と風になった。ワシャの家の居間は東南の角にあるので、もっとも風当たりの強い位置で、雨戸を打つ音でテレビの音量を通常よりも10メモリほど上げなければ聞こえないくらいだった。おもしろい番組もやっていないので、だったら寝てしまおうと決めて2階の寝室に行ったのだが、これがたまらない。木造だと2階は揺れるんですね。まぁ安普請のせいもあるけれど、風がドンドンと雨戸を叩き、時おりド〜ンと大きく風の塊が建物にぶつかる。そのたびにギシギシと家がきしみ、枕元にあるペットボトルの水が波打つんですね。寝られたものではあ〜りませんよ。
 仕方がないので、本を持ってきてシコシコと読んでいたのだが、0時を回った頃だったか、なんの物音もしなくなった。雨も風もなりをひそめてしまった。台風の目に入ったらしい。
 ワシャはあわてて、雨戸を開けて、外を見た。星でも出ているのではないかと思ったのである。残念ながら、雨風は絶えていたが、空には雲があって、夜空を見るまではできなかった。
 その後、再び風雨が増してきて、家はミシミシギシギシ鳴り続けたが、いつのまにか寝いってしまった。
 
 朝、目覚めれば、朝日に赤みを帯びた雲間の隙間から青空がのぞいていた。
 嗚呼、今日から十月。