感謝!

 昨日付けで凸凹商事を退社した。まぁ凸凹商事ということで(笑)最後までお付き合いください。

 9月28日金曜日午前10時、副社長室で退職辞令をもらう。ものの1分である。あっけないと言えばあっけない。その後、人事部に寄って、社員証、社章、保険証などを返還して、本社を後にした。昨日は前日までの雨が上がり、濃い青の空に雲が流れていた。自転車に乗って本社、支社の間を移動していると気持ちのいい風が吹いてくる。
 ワシャは辞令をもらったその足で、支社には戻らず、支社とは反対方向に建っている社の教育部門のビルにむかった。2年前までお世話になった上司がそこにいるからである。その人にだけには正式にご挨拶をしておこうと思っていたのだ。社でナンバー3のその人は、時間を空けて待っていてくれた。しばし歓談をして、そこを辞去したのが午前11時30分。
 支社に戻ると社員研修の会場に顔を出して、80人ほどの社員を前に短めに退任の挨拶をした。

 午後からは自席で、自分の私物をまとめ、必要のない書類等の整理・処分をする。いやー、私物の辞書類の多いこと多いこと。机の引き出しやキャビネットから広辞苑漢和辞典、英和辞典、和英、カタカナ、文書事務、年表、地図……次々に出てくる。夕刻からは支社の送別会が入っているので、それまでには整理をつけなければならない、そう思ってはいたのだが、ワシャの退社を聞きつけて、次から次へと面会者があった。同期であったり、元の部下であったり。
午後3時半には、仲のいい課長たちが大挙して尋ねて来てくれた。「退職の記念品を渡したい」ということで、記念品を貰うほどのことはしていないのだが、お申し出を受けないのも失礼だと考え、ご好意を頂戴した。パーカーの万年筆だった。
 春先に、父親の卒寿の記念で、身内にウオーターマンのボールペンを配ったことがある。百貨店の筆記具の売り場で物色をしていた時に、そのパーカーを手に取って「使い心地が良さそうだ」と思ったことを記憶している。それをいただいた。いとうれし。社の次世代を担っていく課長たちの祝福に心より感謝である。
 その後、4時過ぎに以前にお世話になった上司がやはり退社の話を聞きつけて、駆けつけてくれた。前の部下も顔を出してくれて、臨時職員の人たちも挨拶に来てくれて、いやー、この仕事をやってきてよかった。
 夜は、送別会である。記念写真を撮り、記念品やお花を頂戴した。普通はこれで乾杯となるのだが、もうひとつ贈呈するものがあるという。ワシャが画策好きなので、部下もなにか画策をしているようだ。おもむろに社員がもってきたのは、色紙のようなものであった。ただ普通の色紙ではなく、30センチ角の折り畳み式のもので、開くと花がほころぶように直径60センチの円が現われた。そこにびっしりとメッセージが寄せられていた。これは驚いた。80人分のメッセージが咲いた巨大な色紙。う〜む、ちょこっと泣きそうになったが我慢したのだった。その表紙に黒々とした字が書いてある。
「但去莫復問 白雲無尽時」
但(た)だ去れ 復(ま)た問うこと莫(な)かれ、白雲(はくうん)は尽くる時無からん……。
ワシャが昨日の日記に書いた漢詩であった。監視されておったか(笑)。これは受けた。