作家の日垣隆さんがずっと言っていたことである。
「インカムは複数確保しておくこと」
15年前のセミナーから、その手法なども含めて何度も何度も伝授していただいた。サラリーマンでしかなかったワシャも単独インカムの不安定さを理解し、会社からもらうサラリー以外に収入を求め、試行錯誤したものである。しかし元々の素材が悪うござんしてね、結局、なんにもモノにはならなかった。
最近も日垣さんがコメントしている。
《50代半ばにもなればサラリーマンの誰しも定年に向けて“考える”のに、たいてい4つの原因で失敗する――1.いわゆる“人脈”で新しい職を探して地獄を見る、2.中高年で下らん資格を獲ることに無駄な時間と出費を重ねる、3.サラリーマン時代の肩書きが単品で今後も通用すると信じている、4.実は「個人で売る力がない」ことに軌道修正を試みてこなかった――という錯誤の連鎖。怖いねえ。》
ワシャの場合、「人脈」で新しい職を探していない。資格も獲ろうとは思わない。蕎麦打ちの修行をしようとも思わない。サラリーマン時代の肩書が単品で通用するとも思っていない。「個人で売る力がない」ことは、日垣さんのセミナーで痛感したので、いくらか足掻いてみたのだが、元々の頭脳も素質もなかったらしく、結局、軌道修正はできなかった。
小林よしのりさんが「女子高校生コンクリート詰め殺人事件」に関連して言われている。
《根本的に良心が欠如した人間はいるのであって、そういう輩の人権を守ることは、被害者をもっと増やす運動をしているに等しい。》
ワシャもそう思う。人を殺すこと、人を犯すこと、人を傷つけることに、まったく痛みを感じないばかりか、そういうことに喜びを感じる種類の鬼畜がいるということを人権派を標榜する連中は自覚するべきだろう。
小林さんは言う。
《死に直面させることしか、そのような人物に自分を顧みる機会を与える方法はないのだ。》
これも仰るとおり。だがここは奥浩哉のコミック『いぬやしき』の作戦を採用したい。正義の味方の犬屋敷さんは、人の命をなんとも思わぬ極悪非道のヤクザを、殺さなかった。ただし、半身不随にして視力を奪う。
どちらにしても、良心のない人間は存在し、そいつらの人権を守るためにリベラル左翼たちは奔走しているのである。小林さんは、自分自身の中にも暗黒面があることを理解しつつ、こう言われる。
《だが、善人ぶるリベラル左翼は、自分自身の自画像も正確に掴んでいないし、ひたすら偽善と欺瞞にまみれて朝日新聞のようなメディアで、嘘だらけの優しさを主張したがっているだけなのだ。》
東洋史の泰斗の宮崎市定先生が言った言葉。
「大脳が身体の生理を支配することができないように、トップ(ごく一部の特権階級、共産党)が社会全体を統制することはできない。つまり、いま大脳が胃袋を動かせといったって、胃袋は勝手に動いているし、大腸も、すい臓も勝手に動いている。それを全部命令でやろうとしたら内臓は死んでしまう。そう思ったから自分は左翼にならなかった」
台湾の元総統、李登輝さんの名言。
「大和心とは、歴史と伝統を重んじて現在というスタンスに立って、未来への変革を恐れないことだ」
台湾の総統に、大和心を教えてもらおうとは思わない……などと狭量なことを言ってはいけない。李登輝さんは、日本人として日本の教育を受け、京都大学で農業経済を学び、学徒動員で日本兵として戦っている。それに実の兄の岩里武則さんはフィリピン戦線で戦死され、靖国に祀られている。だから李登輝さんは来日されると、必ず靖国神社に行かれるという。日本人より大和心を知っている元日本人なのである。