文楽がんばれ〜

 昨日、豊橋文楽公演があったので、メチャメチャ暑かったけど、文楽仲間といそいそと出かける。
 出し物は「本朝廿四孝」(ほんちょうにじゅうしこう)。近松半二作。明和3年(1766)正月、大阪竹本座初演の時代ものである。
 物語全体を見通すのはなかなか面倒くさい。文楽、歌舞伎の時代物には共通しているのだが、とくに近松半二は複雑な構成が得意で、どんでん返しがなにしろ多い。その上に、「花つくりの蓑作」実は「武田勝頼」とか「腰元濡衣(濡衣というのが名前です)」実は「斎藤道三の娘」とか、役がいくつも輻輳して、わけがわからなくなってくる。
 だから最近は通し狂言ではなく、この狂言も五段もあるのだが、その中の四段目「十種香の場」と「奥庭狐火の場」を特出しして公演することが多い。今回もこの二場だった。

 物語を簡単に述べると、戦国大名武田信玄上杉謙信はそれぞれの息子(勝頼)と娘(八重垣姫)を政略結婚させようとしていたが、ある件で責任を問われ勝頼が切腹してしまう。許嫁の八重垣姫は生前の勝頼の姿を絵にしてそれを仏間にかけて十種の香を焚いて回向をする毎日である。
 ところが切腹した勝頼は偽物で、本物の勝頼は花つくりの蓑作として上杉館に間諜として入り込んでいたのだ。なんで国主(信玄)の跡取りがスパイ活動をやっているのかは疑問に残るけど、そういったことを考えていては文楽、歌舞伎は楽しめない。館の中で蓑作とばったり出会った八重垣姫は「あれま!勝頼さま〜」と気が付いてしまう。
 勝頼に思い焦がれる八重垣姫は腰元の濡衣に「仲をとりもって」と頼むのだが、濡衣は「諏訪法性の兜を盗み出してくれたらなんとかしてあげる」と答える。
 その後、勝頼は塩尻に使いに出され、その正体を知った謙信は刺客の軍に勝頼を追わせるのだった。
 場面代わって、奥庭に忍び込み兜を盗み出した八重垣姫は兜の精の狐にのり移られ、狂ったように奥庭を跳ね回るのだった。しかしその妖力で宙を飛んで勝頼に危険を知らせるのだった。

 物語中の見せ場で、炎の衣装に早変わりした八重垣姫が四匹の狐と諏訪法性の兜とともに舞台狭しと跳ね回るシーンはスペクタクルだ。この動きは文楽ならではで、歌舞伎の生身の役者ではとうてい無理な動きであろう。この点に人形劇という強みがあるわけで、こういった演目をブラッシュアップしていけば、文楽は必ず生き残れるだろう、というか完全に生き残りましたね。昨日の「穂の国とよはし芸術劇場」でも8割がたの客席は埋まっていた。ちょっと心配なのは高齢者が多かったことくらいで、若い人たちにアピールして展開していけば大丈夫だと感じた。かんばれ〜文楽

 その後、駅前のうどん屋焼肉屋でちょっと酒盛り。あ〜美味しかった。