立待月

 夕べ、読書会。課題図書は菅野完『日本会議の研究』(扶桑社新書)である。各メンバーとも「日本会議」なる団体を初めて知ったと言っていた。ワシャもそんなに昔から知っていたわけではないが、流派が近いので(笑)存在は認めていた。前身は「日本を守る会」であり、その会は日本共産党が躍進したときに、危機感を抱いた反共保守の宗教団体が結束をしたというものだ。大監督の小津安二郎が眠っている円覚寺法主が音頭をとった。小津ゆかりの寺と聞いては、ワシャ的に悪い印象を持つわけがない。
 そういった先入観から本に取り組んだので、この本の胡散臭さを感じる感じる。著者は自身のことを「右翼であり保守だ」と言っているが、違うね。ケチのつけ方、少ないサンプルで多くを語る手法などは、かの佐高信氏の流れを汲んでいるのではないか。
 言いたいことは「安倍首相批判」であり、大嫌いな安倍政権を作り出したのが、「日本会議」だと決めつている。これがほぼこの本の論旨である。帯にこうある。《市民運動が嘲笑の対象にさえなった80年代以降の日本で、めげずに、愚直に、地道に、そしてきわめて民主的な、市民運動の王道を歩んできた「一群の人々」によって民主主義は殺されるだろう》
 著者も本文の中で言っているが、左翼運動は元の姿をとどめないほど崩壊しているが、保守運動は同志の紐帯を維持し、その輪を拡げている……って当たり前の話で、左翼運動が空理空論をベースにしているのに対し、保守の運動は、確固たる依るべき国土、文化、伝統を持っているからである。
 つっこむところは満載なのだが、時間がもったいないのでこのあたりで止めておく。

 読書会後、メンバーにお祝いことがあったので、居酒屋に席を移して、ささやかな宴を持った。金目の刺身、牡蠣のポン酢あえなどで一杯やりましたぞ。夕べはとびきり寒かったので熱燗が美味かったなぁ。
 そうそう、今日、京都にゆく後輩がいて「寒い時に京都は嫌だな〜」と言っていたので、「何を言っておるのだ。冷たく澄んだ空気の中で拝見する仏様が一番綺麗なのだ。仏様にお会いするなら冷気に包まれている頃がいい」と説教しておいた。
 夕べ、居酒屋から出た路地から見た月が綺麗だった。