NHK大河ドラマ『真田丸』の展開がヘンだ。豊臣秀吉の後継のお拾が誕生する。このことで、自らが滅ぼされるのではないかと気に病んだ秀次はノイローゼになってしまう。関白の職を投げ打って自分の意思で高野山に隠棲し、こともあろうに勝手に自決をしてしまう。あくまで秀吉は悪くなく、ずっと甥の秀次を心配していたのだが、その思いは秀次に届かなかった。だから秀吉は怒り狂って、秀次の妻妾を39人も三条河原で処刑するのだった。
おいおい、秀吉は秀次の自害を慟哭していたよね。そこから「一族郎党を根絶やしにせよ」という命令が飛躍し過ぎなのである。今さっき、愛してやまない甥の秀次を悲しむ秀吉のシーンがあって、その次が「皆殺しにしろ」では話に脈絡がなさすぎる。
三条河原での悲惨な場面は割愛され、ナレーションが入って終わりである。次の展開で、真田信繁(堺雅人)が唐突に秀次の次女を発見する。これをなんとか助けたいと、信繁は秀吉に直接話を持ちかける。
「秀次さまの娘を聚楽台で見つけました。私の側室にして助けたい」
「助けたってくれ」
とあっさり秀吉が同意する。そんなアホな。秀次の血を根絶やしにしたんですぞ。奥州最上氏の娘「いま」にいたっては、輿入れ道中の途中で秀次事件が起きた。都に嫁いで来たら、罪人の妻としてそまま三条河原で処刑とあいなった。秀次の顔すら見ていない。東北の田舎で育った19歳の娘ですぞ!最上家は厳重に申し入れをした。しかし「いま」は処刑リストから外されなかった。そんな縁の薄い(ない)娘すら処断するのに、秀次の実の娘を、信繁の献言で救うわけがない。
信繁を関与させるため、花を持たせるため、秀吉を悪くしないために物語を造り過ぎだ。現実の歴史とのつじつまがあまりにも合わないので、ものすごく違和感を覚える。