33kg

 昨日、ようやく書庫の掃除が一段落した。必要のない本をイージーボックスに3箱くらい処分した。といっても焼け石に水ですが(笑)。
 でもね、売ったついでに、また本を33.2kgも買ってきてしまった。焼け太りです。やれやれ。
 たまたま空海の関連で、密教寺院、平安初期の仏教が頭の片隅にあった。そこで「密教寺院と貞観彫刻」という背文字を見つけてしまったのが運のつき。大型本『原色日本美術』(小学館)の第5巻である。その周辺に関連書籍がずらりと並んでいた。「密教美術」から「浄土教美術」「正倉院」「阿弥陀堂」「仏画」「中世寺院」「禅寺」「石庭」「鎌倉彫刻」とずるずるとつながって増えてしまった。
『原色日本美術』は新品同様で、前の所有者は買っただけでまったく読まなかったのかなぁ。この手の大型本はインテリアに近い扱いをうけていたからね。箱もきれいで美本には間違いない。おそらくガラス戸のはまった書棚の中にずっとおさまっていたものであろう。密閉されていないと室内でも本をさわったときに薄く垢のようなものを感じるものなのだが、これがなかった。大切に保管されてきたんだね。ワシャの書庫ではそこまでいい待遇は与えられないが、それでもしっかりと使わせてもらう。すでに何冊かには目を通して付箋を打ち、4Bの鉛筆でラインをガンガン引かせてもらった。
 例えば、第5巻には元奈良国立博物館館長の倉田文作氏の「貞観彫刻」という論文が掲載されている。
空海最澄その他の入唐僧たちの、日本の彫刻にあたえた影響は、とくに図像・アイコノグラフィーを豊富にした点でもみのがすことができない。》この後に続く、教王護国寺(東寺)の四天王や邪鬼、天蓋細部の解説が詳しくおもしろい。
 また『日本美術全集』(学研)の第7巻「浄土教の美術」では、金剛峰寺の国宝「仏涅槃図」が見開き(52センチ×36センチ)で載っている。大迫力だ。釈迦の脇で嘆く仏弟子の離波多(リハタ)などはリアルに描かれていて幸田町の友人にそっくりじゃ(笑)。
 33kgの中には『日本の庭園美シリーズ4』(集英社)の『龍安寺』もあった。この中には井上靖の「龍安寺の石庭」というエッセイが挿んであり、これはまた石庭の違うエピソードとして楽しめた。また井上靖つながりで、井上靖監修の『私の古寺巡礼(一)』(光文社)には司馬遼太郎が文を寄せている。東寺についてである。東寺は空海と濃厚な縁のある寺院である。ぐるぐる回って空海のところに戻ってしまう。でも、回った分だけ少し上昇しながら同じところに戻ってきた。33kg分の止揚ですかね。