巨大国家は荷物を増やしたい

 安倍首相がウクライナで「力による領土変更」を批判した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150606-00000072-mai-pol
 これでロシアとは一線を画することになる。北方領土が遠のくけれど、永い目で見ればこのほうがいい。

 スペインの記者が支那中国の報道官に、
「日本には第二次大戦の歴史を直視するように求めているが、中国政府はいつになったら六四事件(天安門事件)を直視できるのか」
 と質問した。そうしたら報道官は逆切れしたそうな。
「日本は70年前に中国を侵略し、国際社会はこのことについて大昔に結論を出している。2つの事柄は全く別物だ」
 この報道官の逆切れは2つの点で間違っている。日本は70年前に支那と戦争にはなった。その結果が、深い大陸に誘い込まれて苦しめられたということで、侵略ではない。そして戦争終結は、戦争に参加していない支那共産党や当時日本だった朝鮮半島を除いて結論をだしている。「これからはノーサイドでいこう」と。
 それに人民に隠し続けている「天安門事件」を持ち出されて、切れてちゃだめでしょ。平然としていなければ、人民に裏を読まれますぞ(笑)。

 平成3年に司馬さんが「大きなお荷物」と題する評論を書いている。その中で巨大国家を批判している。
《広大な面積を支配するためには、巨大な軍事力が要る。面積的巨大国家における軍事力というのは、もとはといえば、国内への統制とおどしのためのものであった。もしソ連に軍事力がなければ、連邦は早くに解体していたにちがいない。》
 この司馬さんの発言の7か月後、ソ連は音を立てて崩壊した。

 同じ評論の中にこんな文章ある。
《中国の首相の李鵬さんは、ときどき思い出したように、〝日本軍国主義の復活を懸念する〟という旨の発言をされるが、おそらく別の意図に相違なく、いまどきの日本人で他人の大きな荷物(領土)をとりたいというような人はひとりもいないことを、聡明な李鵬さんはよく御存じのはずである。》
 司馬さんの言うとおり、中国共産党は、別の意図をもって、この手の発言を繰り返す。その裏で(と言っても丸見えなんだけど)軍事費を増やし続け、人民解放軍を増強し、ファシズムの上に、南シナ海の軍事基地を建設している。前近代的に大きな荷物を欲しているのは、支那中国であり、吐いた言葉はそのまま己に返って来る。自分の唾を浴びて、逆切れしているのはとても格好が悪いと思う。