四月花形歌舞伎

 昨日、中日劇場の昼の部。演目は、市川右近の「操り三番叟」と四代目猿之助の「雪之丞変化」である。「操り三番叟」は、前座として取ってつけたようなものだが、それでも舞の名手右近の技が冴えている。右近が操り人形になって舞う。春を感じるいい演目だった。
 さて、昼の部のメインは「雪之丞変化」である。物語は単純で、長崎の仇を江戸で討つというもの。悪徳奉行と抜け荷をする商人に父母を殺された雪太郎が、後に人気役者の雪之丞に成長して、巡り巡って恨みを晴らすというお話である。その雪之丞を当代猿之助がつとめる。愛之助が雪之丞の一座の座頭を演じているが、おやまあ、仁左衛門によく似てきたこと。蘭方学者の孤軒先生を右近がやっているが、声、仕草などが、中村幸四郎を彷彿とさせる。次世代が確実に育ってきているということを実感した。
 さて、ワルシャワの注目株はなんといっても中村米吉である。初見は2年前の尾張扶桑での「松竹大歌舞伎」だった。
 2013年7月29日の日記
http://d.hatena.ne.jp/warusyawa/20130729
《連獅子のあい狂言に、歌昇の弟の種之助と、歌六の長男の米吉が登場する。狂言を見慣れているワシャには、まだまだもの足りないものだったが、それでも二人の奮闘ぶりはよくわかった。それに両者とも、父親よりもいい歌舞伎顔を持っている。こりゃぁ母親が良かったんでしょうかね。これは楽しみな若手が出てきましたぞ。》
 そして翌年の2014年6月15日の日記
http://d.hatena.ne.jp/warusyawa/20140615
《ワシャが注目しているのは、中村歌六の息子の「米吉」である。「お国山三」で女歌舞伎の「阿松」を演じたが、これが上手い。顔も丸く背もないので小柄なかわいい娘に成りおおせている。若手女形の中でももっとも注目株だと思う。》
 歌舞伎座で米吉を観ている。
 そして今回、蓮っ葉な掏摸の姉御のお初を演じた。役からすると春猿あたりの雰囲気だが、若手の米吉ががんばって演じきっている。まあまあ及第点と言っていい。
 ちなみに米吉はこの人です。
http://ka6-yone-ryu.com/?page_id=27