果たせなかった政治部長の責任

文藝春秋』の10月号に、元朝日新聞主筆若宮啓文氏の小文が載っている。若宮氏といえば知っている人は知っている朝日新聞を代表する大物の韓国工作員である。この事件で
http://d.hatena.ne.jp/akane-fukushima2/20120509/1336552873
嫌いな日本をあとにしてさっさと韓国に亡命したと噂されている。
 以下は2013年1月の「朝鮮日報」の記事なんですけどね。
若宮啓文・前朝日新聞主筆(65)が釜山市にある東西大学の「碩座教授」に任命された。碩座教授とは寄付金で研究活動をするよう大学が指定した教授のこと。若宮氏は3月から東西大学大学院日本地域研究科に所属し、大学院生に対し講義をする予定だ。>
 遡ること8年前の2005年には朝日新聞で「いっそのこと竹島を韓国にあげちゃって、友情島という名前にしたら」というようなことを書いてしまったという筋金入りの日本嫌い。その人が、よりによって『文藝春秋』で、こともあろうに「慰安婦問題」を書くことになろうとは、時代も変わっなぁ。
 さて、その『文藝春秋』掲載の若宮氏の書いたものである。特集の「新聞、テレビの断末魔」の中で《「慰安婦検証記事」朝日OBはこう読んだ》で朝日新聞を退職された3人の方が筆を執っておられる。そのトップバッターが若宮氏だった。若宮氏、のっけから言い逃れをしている。
《私は朝日在職時から、吉田証言は事実ではなかろうと思い……》
《社内にはこの際、吉田証言を訂正した方がよいという意見があり、私もその一人でした》
 きたねー!おいおい、思っていたなら、あ〜た、主筆でっせ。強く現場サイドに圧力を掛ければよかったんじゃないの。今になって、「私は正しい判断をし正しいことを言っていた」と誤魔化されてもねぇ。「竹島を韓国にやっちまえ」とまで言った人ですよ。まともには信じられますか。
 そしてこんなことも言っている。だらだらと下手な文章が続くので要約をする。
「今から17年前に慰安婦の特集を組んだ。その際に吉田(嘘)証言の扱いが問題になった。その時は潔く正したほうがいいと自分(若宮)は言った。(また言ってやんの)しかしそれまでに吉田記事に関わってきた記者たちが、なかったことを証明するのも困難(面倒くさい)と判断し、そのまま17年も経ってしまった」
 アホか。その上で
「その特集以来、吉田(嘘)証言に依拠する報道はしていないので、今『三十年以上も虚報を垂れ流した』といった批判がされるのは大変心外である」
 と言う。なにが心外じゃ。心外なのは30年も騙されてきた国民のほうではないか。
  こんなこともぬけぬけと言う。
《朝日の吉田報道によって韓国や国際世論に火が付いた、という批判もおかしい。朝日の報道は韓国にほとんど紹介されておらず、韓国が吉田氏を話題にしたのは、彼の著書の翻訳版が韓国で出たり、本人が韓国に行って謝罪したりしたからです》
 ううむ、ここまで言うか。おそらく若宮氏の発言のとおり、朝日の報道は韓国に紹介されていなかったろう。しかし、日本国内では報道されていたよね、もちろん。ということは、日本国内の在日韓国人から、それこそいろいろな手段を使って朝日の報道は半島に渡っている、そういうことである。「批判はおかしい」と言っているあんたがおかしい。
 ここもかなりとち狂っている。
《そもそも慰安婦が「強制的に狩り出された」というのは、吉田証言があろうがなかろうが、韓国では基本的な認識です。何をもって強制連行というかには議論がありますが、河野談話が認めたように、総じて強制性があったことは否定できない。》

 また、「何をもって強制連行というかには議論がある」としながら、若宮氏自身が「議論の途中」と言っているものについて、舌の根も乾かぬうちに「総じて強制性があったことは否定できない」と言いつのる。
韓国人の慰安婦で、日本軍に強制的に狩り出されたものはいない。これはまともな学者の間では決定的な事実である。しかし若宮氏が「議論の途中である」と断言するならば、「あった」という証拠を若宮氏は示すべきであり、その前提が崩れているにも関わらず「総じて……」などとは口が腐っても言えない。
 むむむ……この人は本当に、日本のクオリティペーパーといわれた大新聞社の主筆だったのだろうか?今は韓国に逃亡しているので、日本国内のことを知らないのかもしれない。しかし、文筆で立っている人間が必要な情報にはきっちりと当たっておくのは当たり前ではないか。客観的に若宮氏の古巣がどういう状況に陥っているのかを理解していない。そんな情報の検証すらできていないところが、朝日新聞の病根であろう。図らずもそのことを証明した文章となった。現実、現状を視るということをしないが故の破綻が、文章のあちこちに出ているし、ボロが行間ににじみ出ている。固定概念に囚われた人間はことほどさように劣化するものなのだという典型と言っていい。

 朝日新聞を壊した主犯の一人である若宮氏はともかくとして、この特集に持論を寄せた他の二人の朝日新聞OBの主張はまともだった。
朝日新聞セクショナリズムが強かったため、それぞれの妥協点を一致させることができなかった」
「突然『強制性』という言葉を編み出して強制連行の匂いを残しつつ、じわりと『女性の人権』問題にシフトしました」
 仰るとおり。
 このような方々が朝日新聞の中枢で力を持つことができれば良かったのにね。
  セクショナリズムの蔓延や、本人は有能だと思っている無能な権力者の台頭は、歴史に照らしても、その組織を壊していく最大の悪因と言っていい。残念ながら朝日新聞はそのスパイラルから抜け出すことはかなわなかった。
 ただ、朝日が死にいたる病巣は、どこの組織にも内包している。勢いが落ちている集団、照りがなくなってきた会社、息苦しくなり始めた組織は、「朝日病」ではないかと疑ってみてもいいかもよ。

 読み比べは『文藝春秋』の10月号でどうぞ。