熱海五郎一座

 今日はワシャの営業所が定休日なのでつい寝過ごしてしまったわい。飛ばされるのも悪くない。

 昨日の続きの熱海五郎一座のことである。
 三宅裕司率いる「熱海五郎一座」が「天然女房のスパイ大作戦」を掛ける。物語は夫の浮気のるいる証拠を見せられて、妻自らが調査に乗り出すドタバタコメディとなっている三宅裕司は「約2時間半、最初から最後まで笑いっぱなし」と自信を見せていたが、ワシャにはそれほどおもしろくなかった。いやいや、会場はドカンドカンと大爆笑が起きていたので、きっとおもしろかったんだろうなぁ。
 でもね、吉本新喜劇に慣れ親しんでいる箱根より西の人間には、それほどのこともなかった。三宅が小倉久寛の顔をいじるところや、みんなで渡辺のいい加減さを責めるところが笑いどころなのだろうが、そんなものは吉本では毎度の話で、さほど新鮮さを感じさせるものではなかった。沢口靖子もおとぼけのギャグを飛ばしまくるが、かわいらしいけれど今一歩というところだろう。でも、コメディエンヌとして頑張ろうという姿勢は評価していい。姿勢は姿勢として、これだけ客の笑いの発火点が低いと、喜劇役者は成長しないだろうと思ってもいる。
 歌舞伎を観た直後なので、その演劇のクオリティの差にを感じてしまったのかもしれない。
「お国山三 春霞歌舞伎草子」、「実盛物語」、「大石最後の一日」、「お祭り」のどれをとっても、何世代もの観客にブラッシュアップされてきたもので、場面場面のエキスは濃厚だ。それに比べると「天然女房のスパイ大作戦」はおそらく次の世代には残るまい。「それが軽演劇なんだ」と言われるかもしれないが、軽演劇は軽演劇なりにクオリティが高ければ、時代を超えて評価をされるだろう。

 ちなみに「熱海五郎一座」と言いながら、熱海五郎という役者は一座にいない。座長はあくまでも三宅裕司である。では、熱海五郎とは誰か。
 もともとこの一座を立ち上げたのは、俳優の伊東四朗だった。伊東が出ると、座長は伊東で「伊東四朗一座」になる。しかし、伊東が出ないときは「伊東四朗一座」ではおかしい。だから伊東のちょっと手前で「熱海」、四朗ではなく「五郎」ということで、伊東のいない「伊東四朗一座」を「熱海五郎一座」と呼ぶのだそうな。ふ〜ん。