字も文も

 久々に閣議室の様子が映像で流された。
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20130108-00000273-fnn-pol
 閣議に列席する閣僚たちの右手に置いてあるのが硯箱である。ここでの署名は筆で記す。
 この映像を見て思いだしたことがある。社民党党首の福島瑞穂の署名がひどかった。ワシャも人のことは言えないのだが、それでもこの人よりはもう少しまともな字を書く。
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1300185.html
 一国の大臣が公式文書に書く字ではない。この文書は未来永劫残っていくものである。東大卒業の才媛かもしれないが、国会議員になる段階で習字くらいやっておけよ。そういった地道な努力をしないところが、福島さんのだらしなさ、彼女が口舌の徒たる所以だろう。
 先日、小学校4年生の女の子から我社に手紙が舞い込んだ。先月、実施したあるイベントへの礼状だったが、便箋に丁寧な字がきちんと並んでいた。お見せできないのが残念なくらいきれいな手紙だった。
 もちろん字はお手本通りでなくてもいい。長年、字を書いていると癖字でも風合いのようなものが醸されてくる。ワシャの師匠も右肩の上がった癖字を書く人だが、それが個性になっていて味がある。また、某新聞社を退職されて大学で教鞭をとっている知人の字もなかなかの達筆だ。ときに解読が難しい字も混じっているが(笑)、それはそれなりに絵になっている。
 
 美しい字で手紙を書ける女性は素敵だ。その字を見るだけでいってしまいそうになる。中学2年のときに好きになった女の子も、顔はおへちゃだったが字がきれいな子であった。色の白いは七難隠すではなく、字の美しさが七難を隠した。残念ながら福島さんの字は隠すどころか七難を招きよせているような気がする。社民党凋落の因は意外にこんなところにあったりして。

 今日の天声人語はひどかった。
http://www.asahi.com/paper/column.html
 朝日新聞はしみったれていて、天声人語を2日分しか掲載をしない。だから11日以降にこの日記を読んでおられる方は、上記のURLをクリックしても9日のものは出てこないのであしからず。
《うっかりすると見逃しそうな小さな記事だった。》で始まるコラムは、少し読むと落としどころが見えてしまう。小さな記事とは、韓国の軍政に抵抗した詩人の金芝河のニュースのことを指しており、続いて《韓国の体制に抗して繰り出す詩は、紙つぶてとなって権力者を撃った。》とくれば、落としどころは支那中国の「言論弾圧」だと読める。途中、ソ連の反体制作家のソルジェニーツィンをもってくるところも凡庸だ。コラムニストの勝谷誠彦さんに言わせれば、ニュースの読み込み方そのものが甘く、深部まで考察されていない。単純な「良心の抗議」にまとめてしまったところが天声人語の限界である。
 たまたま天声人語氏、5日の朝日新聞でこの詩人の記事を見た。それが2日後に支那中国の言論弾圧が起きたので、しめたと思ったに違いない。金芝河の詩集
http://www.outousha.com/blog/%E6%9C%AC/kimchiha/
の1冊や2冊は朝日新聞の書庫には眠っているだろうから、引っ張り出してきて抵抗詩を1篇引用するくらいのことは朝飯前ですわなぁ。
こんな天声人語の文章を書き写すことが流行っているらしい。おそろしいこっちゃ。同じ写すなら、オピニオン欄にある天野祐吉さんのコラム「CM天気図」のほうが何百倍もいい。本木雅弘さんの「富士フィルム」の話から入って、日本語ジャズの第1号の薀蓄。その後、樹木希林さん演じる綾小路さゆりの話に持っていく。これがオチかと思わせておいて、実は昨今のテレビの不甲斐なさを叱責して文を結ぶ。こういった先の読めないコラムがいい。
 天声人語氏は天野さんのコラムをせっせと書き写すことから始めるべきだろう。