今回の講座は「女方」である。安田文吉先生は、古い映像をお持ちで、それを映し出しながらの講義となった。
坂東玉三郎、中村勘九郎(現勘三郎)の20歳くらいのときの貴重な映像。「新版歌祭文(しんぱんうたざいもん)」のお染とお光を初々しく演じている。
あるいは女形の至宝と言っていい六代目歌右衛門の演じる「鏡山旧錦絵(かがみやまこきょうのにしきえ)」の中臈尾上(ちゅうろうおのえ)は、はかなげな中に女の強さのようなものを垣間見せ見事だった。また、実川延若(じつかわえんじゃく)演じるお局の岩藤も憎々しげで結構でしたぞ。
指導者として、中村又五郎や中村梅花(ばいか)が顔を出していた。これも懐かしいなぁ。梅花が新人を指導する映像は、上手と下手の違いのようなものが際立って、歌舞伎鑑賞の妙のようなものが伝わってくる。ううむ、江戸時代のエンタテイメントとはいえ、歌舞伎の奥は深い。侮れませんぞ。
「もっと勉強をしなければいけない」と再確認をさせられた2時間だった。