読書会、宴会、二次会

 昨日、全国から三河に、立川の収容所の同寮生が集まった。北は群馬、南は宮崎から、新幹線や飛行機を使ってやって来た。
 せっかく全国から集まるのだから、ただ呑むだけでは芸がない。ワシャの提案で「本を一冊読んで読書会をやりましょう」ということにした。
 課題図書は、文庫で薄くて490円とお求めやすいので、山本七平『「空気」の研究』(文藝春秋)にした。
 ネットで展開している「古典読書会」でも6月に取り上げられており、参加者の反応もよかったのでこれを選んだ。ところが……
 某所の会議室で、読書会を始めたのだが、参加者から「難しい」「読み切れなかった」「内容が理解できない」などの苦情が相次いで、結局、読書会として成立しなかった。
 そんなに読み難かったのかなぁ。集まったのは、ワシャと同業の連中ばかりで、日常的に活字には触れているはずなのに……。研修中、「これは切れ味のいい出来物」と思った関西人もいるのだが、しかし、『「空気」の研究』は難解だったらしい。
ワルシャワさんはこれをどのくらいの時間で読むの?」
 と訊かれたが、風呂に入っている時に読んでしまったので、そのくらいの時間だとしかいいようがない。
 次回は、この読書会はもっと読みやすい本を選ぶことにしよう。自戒の意味も込めて。

 読書会が早めに終わったので、その分、宴会は早まった。夕方の5時半には始まっている。今回は、三河芸者の中でも舞の名手を呼んだ。座持ちのいい名妓でもある。この芸者と、その弟子の芸者で、9時過ぎまで盛り上がった。あ〜楽しかった。
 しかし、その後がいけなかった。たまたま料理屋で教えてもらったスナックが最低だった。「3千円飲み放題、歌い放題」という触れ込みで行ったのだが、小奇麗な店には違いなかったが、ババアが一人店番をしている。ドヤドヤと7人ばかりで押しかけた。奥の大きめのテーブル席に入ったまではよかった。酒が出る。つまみが出る。しかし、待てど暮らせど、綺麗どころは出てこない。
 そもそも、ワシャはこういったスナック系の飲み屋に行くことはない。そりゃ、昔は言ってましたよ。先輩に連れられて、義理でそういった店にも顔を出してはいた。でもね、カウンター越しや、テーブルについてくれることもあるが、どちらにしろ、初対面のようなその手の女性と、気を使って話をすることが苦手なのだ。向こうも気を使ってくれているのだろうが、ワシャはその3倍は気を使う。だから、自分に行く店の選択権が与えられるようになってから、そんな店には行かない。
 でも、せっかく全国から三河に集まってきてくれたのである。だから、いい店に連れていってやりたい。でも知らないので、料理屋できいたのだが、それがあまかった。
 結局、7人の男が1時間、婆さんに水割りを作ってもらって、ピーナツを食っていたばかりだ。
 腹が立ってきたので、「勘定!」と叫ぶと「早いね」と婆さんは言う。要は1時間、薄い水割りを飲みながら、会議室にいたようなものですわ。
 請求書を見れば、きっちりと「21,000円」の数字が書いてある。「3千円飲み放題、歌い放題」の触れ込みだが、婆一人とは聞いていない。これで、宮崎から来てくれた友人に3,000円は請求できまへんで!1,000円の席料だけ請求すると、みんな分かってくれているんだね。「だめだ」「だめだ」と押し問答になったが、ここはワシャのホームグランドでもあるので、ちょこっと顔を立ててもらって、2,000円×6人分を貰い受け、差額の9,000円はワシャの支払いにさせてもらった。文句も言わずにね!
 明らかに客が不満を持っているという「空気」の読めない経営者はダメだ。もしワシャが婆さんの立場なら、
「ごめんね、今日はちょうど女の子がいなくってさ。美味しいもの出して、安くしておくから、歌でも唄って楽しんでいってくださいな」
 くらいは言うぞ。
 まかり間違っても、水割り1杯、ピーナツ3粒、普段着の高齢者で、3,000円の請求はできない。
(続くかも)