愚者の行動にはつねに無駄がつきまとう その2

(上から続く)
 それでは、1500字ばかりの菅文書の内容を見てみよう。
 最初に目がつくのが「みなさん」という単語である。題に「みなさん」が入っており、この「みなさん」が多数の小学生に向けての尊敬語であることが解る。一国の総理が小学生に対してへりくだっているのだ。バカじゃなかろうか。
 その点、司馬さんは「君たち」と呼び掛ける。きちんと自身の立ち位置を決めて、そこから子供たちに語りかけている。
 菅首相は、その後の文章の中で「みなさん、みなさん」と、選挙演説でもあるまいにくどいほど連呼する。わずか1500字の中に20回も「みなさん」が出てくるんですぞ。因みに、司馬さんの『二十一世紀に生きる君たちへ』は4000字ほどの文章なのだが、その中に「君たち」は18回しか出てこない。わかるでしょ。菅文書の「みなさん」の多さが。
 次に、「みなさん」が誰に呼びかけているのかが、文書の中で混乱している。ここからは文書を刻みながら考えたい。
 まず題の「みなさん」である。
《新学期を迎えるみなさんへ》
 日本全国津々浦々の小学校が新学期を迎えたのだから、日本の全小学生のことですよね。
《みなさん、入学、進級おめでとうございます。この4月から、また新しいお友達をたくさん作ってください。》
 上記の「みなさん」も全小学生に呼びかけたものであろう。問題はこの次にある。
《みなさんは、この4月、希望に満ちた春を迎えるはずでした。
 しかし、この春は、私たちにとって、とてもつらい春になってしまいました。
 ご存じのように、3月11日、あの大地震津波が日本をおそったのです。みなさんの中にも、ご家族を亡くされたり、あるいはいまも避難所から学校に通ったりしている人たちがいることでしょう。》
 このフレーズでの「みなさん」が誰に呼びかけているのかが、わからない。前からのつながりから考えれば、全国の小学生のことだろうが、《希望に満ちた春を迎えるはずでした。》と言っている。ということは被災地の小学生のことかな?
(下に続く)