小さな自治体の、小さな議会が大荒れである。
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news-spe/20090210-154510/news/20100930-OYS1T00188.htm
なぜこういった強硬な手段が顕在化してくるかといえば、「とことん議論をして物事を解決しよう」という気持ちがトップに欠落していることに尽きると思う。
阿久根市の竹原市長が乱発した専決処分は、市長、職員、議員の夏の賞与の半減、補正予算、市議報酬の変更、市税等の税率変更、副市長の選任など19件に上る。これはちと多い。
地方自治法では2つの専決処分を認めている。首長に法律の規定に基づくものと議会の委任に基づくものである。阿久根市の場合、議会と敵対しているのだから後者はありえず、前者、いわゆる「法定代理的専決処分」しかない。では、「法定代理的専決処分」とはどういうものか。大雑把に言えば、地方自治法第113条の但し書きにある「(議員の定足数が)除斥のため半数に達しないとき」などの理由により会議の開催ができなかった場合に認められているものである。
こういった状況にも関わらず、竹原市長は一方的に議会の開会をせず、専決処分を乱発し続けた。これは違法行為と言われても仕方がないだろう。見るに見かねた鹿児島県知事が是正勧告をするも、これを無視し、いっこうに改善する様子はなかった。
しかし、リコール運動が動きだし、住民に配慮を示すかたちで臨時議会が開かれ、19件の専決処分のうち、14件が不承認となった。この延長線上に冒頭の乱闘事件がある。阿久根市は「是」と「非」で真っ向から対立し、住民の間に大きな亀裂をつくってしまった。地域コミュニティが憎しみという感情で分裂する。それでいいのだろうか。それでも竹原市長は正しいと言えるのだろうか。
総務大臣になった片山善博さんがこんなことを言っている。
《自治体の首長の場合には、いくら多くの有権者の支持を得て当選しても、公約を実現することは決して容易ではない。別途の選挙で選ばれた議会が予算や条例の決定権を持っており、自分の考えだけでは政策を具現化できないからだ。》
選挙に通ったからといって、首長は絶対的な権力を付託されたわけではないということを知るべきである。
(下に続く)