樽床国対委員長について

 広島県北西の山間部に「聖湖」という湖がある。国の特別名勝三段峡に直上流にあって紅葉の時期はそりゃぁ綺麗ですぞ。
 さて、聖湖は、1957年に完成した樽床ダムによって造られた貯水量20,000トンの人造湖である。この湖底に樽床村が沈んでいる。

 民主党の代表選で一躍時の人になった樽床さんのルーツはもちろんこの村にある。なにしろ「樽床」というのは奇姓ですからね。『日本の苗字ベスト30000』にも載っていないくらいだから、ごく限られた地域の姓ということになる。
 樽床さん、現在は大阪の寝屋川にお住まいとのことだが、もともとは島根県雲南市三刀屋(みとや)の人である。樽床村と三刀屋中国山地でつながった圏域である。樽床村から樽床さんの先祖がトコトコと日本海側に移住していったんでしょうね。
 樽床さんの、事務所関係者は「出身地の島根県に造り酒屋が多いからではないか」と言っているようだが、それは違う。こんな近接したところに「樽床」という地名が存在しているのだから、そことの関連性がないわけがない。全国の造り酒屋のある場所で「樽床」という苗字が多く見られるならば、事務所の言うとおりかもしれないが、他の地域で「樽床」姓は見られない。とするならば、近在に地名として存在しているのだから、そこから派生して出てきたと見るのが正しかろう。
 そこで「樽床」の意味である。事務所は「樽」を酒樽と見たわけだが、これは間違い。「タル」は「滝」を意味しており、これは全国に散見される。もちろん、樽床村は中国山地の高峰の恐羅漢山(おそらかんざん)、砥石郷山、臥龍山などに囲まれた山深いところである。村の中を本流である柴木川やそれに流れこむ細流が無数にあったに違いなく、滝もあちこちに見られただろう。「トコ」は平らな岩のことで、例えば川の流れが緩やかになって平らな岩の表面が濡れているようなところを「トコナメ」という。急流の代表格の「タル」と穏やかな流れの「トコ」、これは酒屋の倉庫から出た苗字ではないでしょう。