春の大読書会は楽しかった

 昨日の上京にからんだエピソードをいくつか……

 早朝の新幹線こだま、三河安城から乗車。いつもの日曜日ならホーム全体でも20人もいない乗客が、春休みということなんでしょうね。あちこちに行列が出来ていた。ワシャが乗るのはいつも自由席、2号車の2〜5のE(後より進行方向に向かって左窓側)に陣取る。このあたりだとトイレも近いし、富士山も拝めるのじゃ。ありがたやありがたや。
 三河安城で行列ができているといっても多寡が知れている。車内はまだがらがらだ。ワシャの周辺に家族連れやオバさんの集団はいない。これなら静かに読書にいそしめる。浜松までは快適だった。掛川で家族連れが乗り込んで来て、子どもを通路で放し飼いにするではあ〜りませんか。
 バタバタ、バタバタと歓声を上げながら何度も何度も通路を行き来する。さすがに温厚なワシャも堪忍袋の緒が切れましたぞ。
「こうらぁ!電車の中では静かにせんかい!!」
 と子どもたちを優しくたしなめた。こんなに優しく言ったのに、子どもたちはびっくりしたようで、バカ親のもとに泣いて帰りおった。だはははは。
 静岡を過ぎると車内は段々混みだしてきた。新富士で和服姿の父親とやはり着物姿の中学生くらいのお嬢ちゃんが乗ってきて、お嬢ちゃんが4D、父親がワシャの隣の5Dに座った。着物をきちんと着ているので紳士かいなと思ったら違った。肘掛からヒジを大きくワシャの陣地まで突き出して平然と座っている。いつか気がつくだろうと思って、三島まで我慢したが、ずっと領海侵犯したままだった。さすがに温厚なワシャも堪忍袋の緒が切れて、「オッサン!ええ加減にせんかい。さっきからおめえのヒジが当たって痛いんじゃ、少しは遠慮して座らんかい!」と言ってやろうと思ったら、三島で降りて行ってしまった。残念。
 その後は女性が座ったので、圧迫されることなく東京駅まで読書をすることができ、取り敢えず『少年リンチ殺人』(新潮文庫)を読破する。これは面白かった。これから子どもが思春期を迎える親御さんは、必読の書かもしれない。こういう現実があるんだということを知っておくだけでも災いを防ぐことができるだろう。
 午前10時過ぎに東京駅着、こだまの窓から皇居に向かって黙礼する。皇居の上空には蒼天がひろがっている。東京は快晴だ。
「よーし、がんばるぞ」
 と頬をはたいて気合を入れるのだった。(つづく)