『いだてん』のシナリオ

 夕べ、午後8時から、NHK大河ドラマの『いだてん』を観る。なんといってもショーケンの最期の出演となった回だからね。

 

 思わず、ショーケンの出演シーンをシナリオで起こしてしまいましたぞ。長いです。

 

『いだてん』第25回

 治五郎(役所広司)らが体協本部に集まり、オリンピックの渡航費用の工面に頭を悩ませている。やけになった治五郎が「オリンピック参加を止めよう」と言い出したところに田畑政治阿部サダヲ)が6万円の大金を風呂敷に包んで持参している。

 

○体協本部

    田畑が治五郎の左に座っている。

田畑「(ケロッと)若者のために使うと言ったらくれました」

治五郎「誰が?」

田畑「高橋是清

 

朝日新聞記者室

    緒方竹虎リリー・フランキー)が部下に田畑の行方を聞いている。

    電話が掛かってくる。取る記者。緒方につなぐ。

緒方「はい、もしもし」

 

○洋室

    豪華なシャンデリア。その下にやはり豪華なテーブル。

    そこに案内をされて入ってくる田畑。

声「あんたとこの若い者が来とるんだがね」

 

○記者室

    耳に受話器を当てている緒方。

緒方「はは、せわしないのですか?あつ苦しいのですか?」

 

○洋室

    コーヒーをズボンにこぼす田畑。

田畑「あっつ!あつ!」

    と、飛び跳ねる。秘書があわててハンカチで拭こうと手を出す。

    電話をしている髭をたくわえた眼光鋭い老人(萩原健一)の横顔。

是清「せわしない」

 

○記者室

    受話器を耳に当てている緒方。

緒方「ああ・・・じゃあ田畑ですね」

 

○洋室

    テーブルを拭いている田畑。

緒方の声「かわいがってあげてください・・・失礼ですけど、どちら様?」

是清「高橋是清だ」

    

○記者室

    受話器を耳に当てている緒方、居住まいを正す。

    手元の新聞。「高橋藏相 食料政策の辯」の記事見出し。

 

○洋室

    是清、受話器を耳に当てている。

緒方の声「おっしゃるとおりに、つまみ出してください」

是清「わかった」

    掛け時計の「時の鐘」。

 

『いだてん』第26回

○洋室

    高橋是清が洋室に入ってくる。

N「高橋是清。総理大臣を2度、大蔵大臣を6度もつとめた、まさに大物中の大物。さすがの田畑さんも今回は借りてきた猫……かと、思いきや」

    ソファーにどっかりと座っている是清。

    跳ねまわりながら話す田畑。

田畑「さあ大臣、ハワイの英雄カハナモクと、我が国が誇るクロールの達人高石。どっちが勝ったと思います?大臣!」

    戸惑ったような表情の是清、なにかを答えようとするが、それを遮って。

田畑「違う!そう!違う!高石が勝ったんです!」

N「相変わらずの野良猫・・・いや野良ガッパです」

田畑「日本チームが世界新記録。見て大臣」

    ストップウオッチを是清の眼前に突き出す。

田畑「9分38秒2」

是清「・・・田畑君と言ったね。私はオリンピックなどに関心はない。加納君が大騒ぎをしとったから、名前ぐらいは聞いたことがあるが(立ち上がる)、だが、スポーツと政治は、無関係(隣室にゆく)、これが私の信条だ」

 

○隣室

    入ってくる是清。

    テーブルの上に並べられたブランデーをつかんでコルク栓を抜く。

    ブランデーを小ぶりのグラスに注ぐ。

是清「だから、政府は金も出さんし、口も出さんでやってきた」

    是清を追って隣室に入ってくる田畑。

田畑「加納さんと僕らは違いますよ」

是清「ほう・・・」

    是清、グラスを口に運び、一口飲む。

田畑「古いんですよ、体協の考え方は。もう寄付で賄える規模じゃないんです。富める国はスポーツが盛んで、国民の関心も高いです」

 

○洋間

    是清、ブランデーのグラスを持って洋間に戻ってきて、ソファーに座る。

    是清を追って戻ってくる田畑もソファーに座る。

田畑「先生方も、スポーツを政治に利用すりゃあいいんですよ。金を出して口も出したらいかがですか?」

    是清、一口ブランデーを飲む。

是清「私が断ったらどうするつもりだ」

田畑「(微笑み)そりゃ考えませんでしたなぁ。大蔵大臣の上は総理ですか?」

    是清、ゆっくりと笑だす。

是清「ふはははははは・・・。君は、怖いものなしだな」

    つられて笑う田畑。

田畑「どうせ30で死ぬんで・・・」

    是清、飲んでいたグラスを口から外し

是清「なにぃ?」

 

○バー「ローズ」(回想)

    カウンターの向こうのママ(薬師丸ひろ子

ママ「30で死ぬと出ています」

田畑「え?30??じいさんが55で、おやじが43、で、オレが30?」

 

○洋室

田畑「冗談です」

是清「でぇ・・・そのオリンピックとやらは、お国のためになるのかね?」

田畑「お国のためには、なりませんな」

是清「ならんかね」

    是清、再び立ち上がり隣室へ。

    田畑も立ちあがって、是清についていく。

田畑「しかし、若い者には励みになります」

 

○隣室

    入ってくる是清。ついてくる田畑。

田畑「日本の若者が世界の舞台で飛んだり跳ねたり泳いだりして西洋人を打ち負かす。その姿を見て、オレも私も彼らのようにがんばろうと立ち上がる。その若者の力を、国のために生かすも殺すも先生がた次第でしょうな」

    掛け時計の「時の鐘」。

    グラスを口に運ぶ是清、一瞬躊躇するがグラスの酒を飲む。

 

 ショーケン高橋是清、よかったですね。高橋是清風なんだけど、ショーケンだった。戸惑った表情や、しゃがれた声など、『傷だらけの天使』の修そのままだった。それでも、高橋是清のようにも見えたから、それはそれでいい。

 日本は、貴重な俳優を失った。70歳のショーケン、80歳のショーケンを見てみたかった。

 

 

 

 

 

朝日新聞でリテラシーを

 ワシャは朝日新聞を取っている。もちろん日記を読んでもらえれば、ワシャが左傾していないことはご理解をいただいていると思う。でも、朝日新聞は読む。それも毎朝、楽しみにして。

 これは、昨年亡くなられたコラムニストの勝谷誠彦さんも同様で、メルマガでは、早朝に近所のコンビニまでいそいそと朝日新聞を買いにゆくご自身の描写が何度も何度も綴られていた。

 朝日新聞を率先して読むことで、朝日新聞の極めて偏った視点を確認することで、自分の立ち位置を常に適正な位置に置くことができる。一種のメルクマールと考えているからである。

 普通の国民レベルでは、なかなか「朝日新聞の嘘」が見抜けない。実際に20年前には、完璧に騙されていた。それが、日垣隆さんの『エースを出せ!』(文藝春秋)を読んで目から鱗が落ちた。「新聞は嘘をつく」「テレビは嘘をつく」「左翼は嘘をつく」「保守も嘘をつく」ということに気づかせてくれた。要は、「メディアリテラシーを持て」ということを教えてもらった。

 ワシャの考え方は「保守」である。しかし、その保守であっても、独善的になりがちである。それは自民党の大多数の議員を見ていれば、そう思わざるをえない。気を付けなければ大きな流れに巻き込まれ、己を見失ってしまう。だから、角度を変えてものを見ようということなのである。毒は薬と言うでしょ。朝日新聞の見方、赤旗の見方などが、いい薬になるのであった。

 でも、毒は毒。そこは注意しておかないと、70代全共闘の爺さんたちのように「洗脳」されないとも限らない。眉に唾をつけながら読んでいるのだった。

 併せて、地元紙の中日新聞とか、ネットのニュース記事にも注意して朝の時間を過ごすことにしている。新聞紙とネットを並行して読んでいると、適時性、多様性では、もう紙の媒体はネットに太刀打ちできないね。ワシャは紙の新聞が好きだけれど、もう一時代を終えた感が強い。

 と、言っていたらこんな記事をネットで見つけた。

《経済では韓国は日本に太刀打ちできない!》

https://news.yahoo.co.jp/byline/pyonjiniru/20190707-00133216/

 コリア・レポート編集長の辺真一氏の論説である。この人の発言はいつも冷静で定量的で、とても理解がしやすい。この記事では、朝日のようにヒステリックに「制裁だ!」「経済戦争の勃発だ!」と叫ぶことはせず、淡々と現在の状況を説く。なにしろ、経済力で韓国が日本に太刀打ちすることは難しい。いくら国名に「大」をつけようとも、実質が伴っていないのだから。

 辺氏は言う。

《「消耗戦」に勝つには耐えられるだけの経済力がなければならない。日韓の経済力を比較すると、どれをとっても日本が断然有利である。そもそも土台から違い過ぎる。》

 このことに、文在寅が一刻も早く気が付いて、矛を収めることをしなければ、韓国国民に多大な迷惑を掛けることになるだろう。

 

 あ!思い出した。

 ここまで書いてきて、昨日のNHK大河ドラマ『いだてん』のことを思い出した。『いだてん』、先週の日曜日から第二部に突入。主人公が中村官九郎から阿部サダヲにスイッチした。申し訳ないが、官九郎と阿部サダヲでは、役者としての格が違う。第一部と第二部ではドラマの面白さが違ってくる。

 その象徴が第二部第1話にラストの1シーンに登場する萩原健一であろう。蔵相高橋是清役で、重厚な存在感を見せている。そして夕べの第2話に、阿部サダヲとからむシーンにも登場した。

 これがショーケンの遺作である。

 このシーンを演じるための葛藤は、『ショーケン最終章』(講談社)に詳しい。

 NHKの撮影が始まるのが、昨年の7月、その段階でショーケンに診断結果が告知されている。医師は「即日入院、即刻手術」であった。

ちょっと引く。

《再手術をするのなら、この機会しかないだろう。それでもドラマをやるのか・・・》

 ショーケンの奥さんは「どうしたいの?」と尋ねたそうだ。ショーケンは即座に「やりたい」と答えて、すべてが決まった。

 その命を削ったショーケンの最期の演技が昨日の阿部サダヲとのからみだった。シーンとしてはコミカルなところもある。だが、ショーケンファンのワシャには、涙なくしては見られない場面だった。

 シーンの中に高橋是清が微笑むカットがある。これは演技としての笑みと、もう一つ、阿部サダヲのようないくぶんの狂気、凶器を含んだ後輩俳優に臨んで、日本の役者の未来に明るさを感じたからではないだろうか。

 ショーケン、相変わらずいい顔をしている。年齢相応の重厚感ある顔になっていた。ワシャも年齢を重ねて、ショーケンみたいないい顔、もちろん顔だちはどうしようもないが、まとった重さのようなものは努力でつくれるものだと思っている。がんばって、リテラシーを磨こうっと。

懸念

 ウイグルホロコーストに懸念をするものである。

https://uyghur-j.org/japan/2019/06/20190705-0706/

 一夜にして1万人のウイグル人が消えた。ナチスドイツがユダヤ人に対して行った民族浄化という悪逆。これと同じことが21世紀のアジアで実行されている。この悲劇が、習近平中国共産党という独裁体制がもたらす災厄であることは言うまでもない。同時代に生きるものとして、このことを厳しく糾弾するものである。

 

 文化の破壊に懸念するものである。

《新天守エレベーター申立書 大村知事に障害者団体提出》

https://www.saga-s.co.jp/articles/-/396640

 ううむ、河村名古屋市長ではらちが明かないと、ついにポピュリストの門を叩いたか。文化を理解していない、城などに興味もない大村知事が、大衆のご機嫌取りだけで動き出すことは、さらに事態を混迷させる。困ったものだ。

 エレベーターをつける天守閣を造るなら、もう木造でなくてもいい。スカイツリーのような展望台を造っておけばいいじゃん。そうすれば、万人が名古屋城の一角で高層の展望台に登って名古屋市の俯瞰を楽しめる。「もう勝手にやってくれ」と城好きのオッサンは思うのだった。

 この記事の写真を見ていて思ったのだが、大村知事、変な色の靴を履いている。なんだろう。ペンキ塗りたての床を歩いてきたのだろうか。ターコイズブルーというのか、こんな色の靴は見たことがない。ある意味、すごいセンスだ。

 

 ワシャの街が、セブン-イレブンばっかりになってきたことを懸念するものである。

《セブンペイ不正、現場の店主は…「正直笑ってしまった」》

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190705-00000035-asahi-soci

 コンビニ最大手、セブン-イレブンに組織の綻びのようなものが見えてきた。24時間営業をフランチャイズ店舗に強制して、結果、時短に応じたということもあったし。

 昨日の中日新聞には、時短をしたオーナーに、社長名で脅迫めいた文書を送りつけたとの記事が載っていた。

 それに、ワシャは近所のコンビニに、あることを頼みにいったのだが、セブン-イレブンだけには、頑なに拒まれた。ローソンなどは気軽にオッケーを出してくれたのだが、セブンは取り付く島もなかった。セブンペイのドタバタ、24時間営業のアタフタ、ワシャへの対応のグダグダ、なんだかセブン-イレブンの企業風土の腐りを感じさせてくれるのう。

 

 毎日新聞はいつつぶれるのか懸念するものである。笑える。なんで毎日新聞はこのように半島寄りの記事を書けるのか?

《対韓輸出規制は、なぜ愚策なのか》

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190706-00000002-mai-int

 まず、どこの国の新聞だと言っておきたい。明らかに日本国の新聞ではないよね。

 朝鮮半島の代弁者の意見を見てみよう。まず、韓国人の大学教授の口を借りて「はっきり嫌がらせだと言えばいいのに」と書く。

 はっきり嫌がらせでんがな。ただし、嫌がらせは韓国からのもののほうがはるかに多く、はるかにえげつなかったよね。

菅義偉官房長官は「対抗措置ではない」と強弁していますが、真に受ける人などいません。》

 これっぱかりの対応策が、対抗措置のわけがない。韓国のしてきたことを考えれば、国交断絶でもいいくらいだよね。

《日本政府の措置は、長期的にはブーメラン効果で日本企業に痛みを強いる愚策だからです。》

 確かに一時の痛みが日本にもあるかもしれない。しかし、寄生され腐りかけている部位を完全に切断して、その後、健康・健全な国柄を継続していくためにも、ここは手術が適当だと思う。絶対的な損失は寄生側にあるんだから。毎日新聞あたりに「愚策」とか言われても、朝日・毎日あたりにそう言われるということは「上策」だったということに他ならない。

 

女優

今日から俺は!!

https://www.ntv.co.jp/kyoukaraoreha/

というドラマがおもしろかった。ツッパリ2人を核とした学園ドラマで、まぁストーリーはハチャメチャだったけれど、不良たちの生態とか、権力争いの状況なんかがおもしろくて録画をしてまで観てしまった。

 登場人物の中では、スケバンの早川京子を演じた橋本環奈がよかった。白目を剥くシーンなんかとてもキュートだ。確かにあんなスケバンが昔はいたもんじゃ。

 主人公の三橋貴志に想いを寄せる真面目な高校生の赤坂理子を清野菜名

http://sticker-inc.com/talent/nana_seino.php

が演じた。聖子ちゃんカットの可愛い女の子だったが、インパクトの強い橋本環奈の陰に隠れてしまって、ワシャ的にはあまり注目をしていなかった。

 

週刊朝日」の7月5日号である。萩原健一に関する記事があったので購入した。その中に清野菜名の記事もあったのだ。

「ほお……『今日から俺は!!』の理子ちゃんではないかいな」

 そう思って記事を読んでみると、オヨヨ、倉本聰さんと深い親交があったのね。なんと、現在放映中の『やすらぎの刻』

https://www.tv-asahi.co.jp/yasuraginotoki/

にも主役で出ているんですな。

 調べてみると、前作の『やすらぎの郷』にも登場していた。主人公の菊村栄(石坂浩二)がかつて恋した女優の孫として。このドラマの清野菜名の印象は残っている。しかし、ドラマにうまく溶け込んでいて強い印象ではない。ほのかな風のような感じとでも言おうか。脇役の中の脇役だったからね。

 それが倉本先生の目にとまって、続編の『やすらぎの刻』では主役に抜擢された。そのシーンも観ていたのだが、清野菜名さん、演じるたびに違う人物に成り果しているので、全部別人だと思っていた。ホント。

 でね、「週刊朝日」の記事を読んで、倉本ドラマと清野菜名がつながって、調べてみたら『今日から俺は!!』の理子ちゃんにたどり着いた。

 すごいな、この女優。演じる役ごとにまったく違った人物に見えてしまう。例えば、深田恭子はなにを演じてもそこに確固たる深田恭子が存在している。綾瀬はるかにしても、登場時はやはり綾瀬はるかなのだ。そこから綾瀬はるかを消し去って、物語の中の主人公に成っていく。それが清野菜名には端からなかった。まぁ深田さんや綾瀬さんのようにビッグネームではなかったということもあるのだろうが、それにしてもワシャの目には留らなかった。

 しかし、巨匠の倉本先生には留ったのである。ということは、この若い女性は、すごい俳優に育っていくということが保障されたと言っていい。今後、注目して観たい女優の一人である。この人の舞台なら観てみたいなぁ。

 でも、ミーハーなオッサンとしては、橋本環奈だけどね(笑)。

 

選挙に思う

 個々の候補者についてはなにも言わないけれど、「こんな候補者を出してきて大丈夫か?」というトンデモ候補があちこちにゴロゴロと出てきた。それぞれの党は適性を見て選んでいるんだろうな(怒)。選挙が終わってからバリバリに書かせてもらうけれど、ちょっと候補者が酷すぎる。チンケな市町の議員ではないのだよ。重い国政選挙なのである。それが、「おいおいお前なにしに国会に行くんだ?」とあきれてしまう低レベルの候補者が目につく。元アイドルグループの不倫ネーチャンもそうだけれど、こんなのに国会をまかせて大丈夫なのか。議員のレベルイコール有権者のレベルなのだよ。

 ツイッター上に「甲子園優勝チームに、バットも持ったことがない茶道部かなにかが挑戦するようなもの……」と書いてあったけれど、テメーの公約すらはっきりと言えない候補者なんて、国会をなめているとしか思えない。そもそもそんなかわいいだけ(審美眼のあるワシャにはかわいいとはちっとも思えない)が取り柄の候補者を担いでいる政党が国会をなめている。

 

 それにしても、このクソ選挙制度、何とかならないものだろうか。相も変わらずポスター掲示板に候補者の顔写真ポスターをベタベタと貼っていくというもので、小さなワシャの町ですらポスター掲示場は300箇所以上ある。これが全県、全国ですぜ。ポスター掲示場がいったい何箇所あるのか……なにしろとんでもない箇所数で、そこに貼るポスターの枚数、貼付の手間はいかばかりであろうか。テレビでいいんじゃないの。あるいはネットでいいんじゃないの。人相書きをつくって貼り出すなんてやり方は江戸時代の発想ですぞ。

 

 今回の、ポスター貼りでは、組織が強かったね。公明党共産党の貼付の早さは生半可ではない。おそらく午前8時30分過ぎには、党員や学会員が総出で貼り付けたに違いない。その迅速さ、組織力には空恐ろしさを感じる。

 次が自民党で、ここが午前9時半くらいまでには貼付完了していたのではないか。その後、午前中の遅い時間に国民民主党立憲民主党と続いた。そして夕方まで観察をしていたが、結局、この5枚しか貼られていなかった。

 

 このポスター貼りもそうだが、配布物にシールを貼ったりとか、公職選挙法には旧態依然としたやり方がこびりつくように残っている。時代はネットの時代に入って久しい。スマホ、携帯なども大半の人が持っている時代だ。

 紙媒体に固執する人たちは、「そういった通信環境のない人たちもいる」と高齢者を気遣うが、おいおいワシャの90を超えた父親でもパソコンを使っているぞ。

 確かにそういった環境を持たない人もいる。だが、さすがにそういった人でもテレビは見るだろう。テレビでフォローすれば、ポスター掲示場が本当に必要なのかどうか……。

 ネットで探したけれど、全国にどれだけのポスター掲示場があるのかは見つからなかった。しかし、ワシャの町のケースで言えば、人口600~700人くらいに一箇所という勘定だから、1億2000万人で考えると、19万箇所くらいかなぁ。そこにかかる掲示場設置費、設置に関わる自治体職員の手間、ポスター印刷代、ポスター貼付に関わる候補者関係者の手間、どう安く見積もっても数百億、下手をすると1千億円のオーダーであろう。この無駄をなんとかできないものだろうか。

「立候補するより、前の仕事のほうがよかったですう」

「私の公約?堂々めぐりしちゃって覚えていません、うふ!」

 こんなののために国費を使うのがバカらしくなってくる。

 

市長車の話

 テレビのニュースでやっていた。市川市長が市長車を更新するんだとさ。

市川市が公用車に「テスラ」導入 「高額」と疑問の声》

https://news.goo.ne.jp/article/chiba/region/chiba-20190626112629.html

市川市長公用車に高級電気自動車》

https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20190703/1000032240.html

 テスラという車についてはこちら。

https://www.tesla.com/jp/modelx

 ワシャは車は下駄だと思っているので、車種とか性能にまったく興味がない。テスラだろうとモスラだろうと下駄は下駄だと思っている。でも、高級車に乗りたい人、外車に乗りたい人というのはいるんだよね。車をステイタスだと思っている人にはかけがえのないものなのだろう。ここにいささかの品性のなさを感じてしまうのはワシャだけだろうか。

 千葉県市川市、面積が57.45平方キロである。これは、市域としては小さい部類に入るだろう。だから全市を車で走るといっても多寡が知れている。豊田市が918平方キロ、岡崎市が387平方キロ、その二つに挟まれた小さな安城市ですら87平方キロある。市川市、小さいでしょ。その上に起伏もないところなので、自転車でもいいくらいだ。置き場所にも困るような馬鹿でかい外車を買っているんじゃねえよ。

 テスラ購入の理由の一つに財政力の豊かさを挙げているが、これにしても市川市は財政力指数が1.01である。ちなみにこの指数が1.0を下回ると交付団体となるから、多くの自治体が交付団体の状況からみれば豊かといえば豊かだ。でもね、前述の豊田市で1.11、岡崎市で0.99、安城市で1.24となっている。さらに言えば、碧南市1.08、刈谷市1.31、小牧市1.15、東海市1.26、大府市1.06、みよし市1.16、長久手市1.04と市川市の上をゆく自治体はかなりある。でも、どこの自治体の首長も1100万円のテスラは乗らない。600万円のランドクルーザーに乗りたいと言っている首長はいるけどね(笑)。

 それでも市川市長に確固たる信念があって1100万円の外車に乗るというなら、それはそれでいい。であるなら、市長は公の場でそのことを説明するべきであろう。

 2番目のニュースでは、市川市の管財課長は「説明が不足している部分もあるので、納得してもらえるように説明を尽くしていきたい」と話していることを伝えているが、これは違う。

 そもそも管財課から1100万円もする外車など最初から予算要求として上げてはいかない。およそ国産の高級セダンくらいが関の山だろう。どの自治体でも市長車を決めるのは、結局、トップなのである。西三河ランドクルーザーに乗りたいという首長も含めて、そういうことなのである。市長車は市長の意向で決まる。管財の用意した大衆セダンで納得する首長は、希少な出来物と言っていい。

 市川市のような見栄坊トップは、目新しいものに大事な財源を突っ込む愚挙を犯す。記者会見の場からも、コソコソと逃げてしまう。優秀なご経歴をお持ちのようだが、馬脚を顕しちゃったんだね。

和シャは楽し

 昨日、仕事帰りにいつもの本屋に立ち寄る。注文していた萩原健一ショーケン最終章』(講談社)とNHKテキストの山川宗玄『禅の知恵に学ぶ』(NHK出版)が「届いたよメール」があったからね。

 ついでに「Hanada」と「WiLL」の8月号を購入する。会計を済ませて帰ろうとしたら、女性向けの雑誌コーナーで「和楽」が目に留った。いつもならスーッと過ぎてしまうんですよ。でもね「和楽」の表紙に「ミュシャ」の絵が付いていて、それに目が滞った。【特別付録】にミュシャのトートバッグが付いているではあ~りませんか。これは、速攻で買いである。

 

 帰宅して、「今日はいい買い物をしたわい」とほくそ笑みながら、「和楽」を読み始めた。そこで2度、3度、4度と驚いたのだった。繰り返すが、ワシャは「和楽」を、ミュシャのおまけがあるから購入した。ところが、よくよく見れば〈特集〉が「ミュシャと日本美術」である。なんと25ページにわたるボリュームで、いやいやこれは嬉しい不意打ちだった。それにワシャの大好きな日本の画家の「川瀬巴水」と「鏑木清方」も特集されていて、なんだかワシャのためにラインナップされたような編集ではないか!清方展は11月1日から東京国立近代美術館で開催するそうな。行きてー!!

 ここまでで嬉しさが2度、3度、4度。ところがこれだけでは納まらなかった。128ページには玉三郎丈が登場しており、そして178ページには扇子の特集まであるんですぞ。ワシャは歌舞伎ファンであり、扇子好きときたもんだ。人間国宝玉三郎丈は何度も観にいったし、扇子は安物ばかりだか40本ほどを持っている。服装の色と同系のものにしたり、季節に合わせたり、慶弔で選ぶこともある。歌舞伎に行くときには、隈取が描かれた扇子を持ってゆく。こんなんだから、玉三郎のページや扇子の特集はこれまたありがたい。ミュシャのトートバッグまで入れれば6つの「嬉しさ」があるわけで、これで1500円は安い!この雑誌はもう永久保存版になってしまったのだった。